私は、ブログや研修のネタ用に、また記憶力にあまり自信もないため、エバーノートというクラウドタイプのメモアプリを常時使用しています。
ここ数年で、これを使用しない日はないくらい高い使用頻度です。
今日は、本も読めてないし、特に学びにつながるような出来事もあまりなかったなぁ。
そのような困った時、これを見返すわけです。
すると、2018年3月と少し情報は古いですが、日経ビジネス電子版で“辻一弘さん”の記事を見つけました。
辻さんは、ゲイリー・オールドマンが第90回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」のメイクアップ&ヘア賞を受賞した、偉大な功績を残した日本人です。
何故この情報をエバーノートに記録していたのかというと、この辻さんと高校時代の同級生であったのが、当時の私の上司だったからです。
世間で騒がれ始めた時には気付かず、しばらく経ってから「辻か、そういえば、クラスに居たな~。」と、その上司は思い出したそうです。
従って、その高校の時は、どうやら辻さんが凄い奴という記憶はなかったようです。
さてそんな辻さんが、アカデミー賞を受賞後、テレビ出演された時に、こんな印象的なことを語られていました。
・人のアドバイスは一切聞かないこと
よく近しい人から言われる、「あなたのためを思って言っているのだよ。」とか「あなたには、こっちのやり方のほうが合っているよ。」のような助言です。
人のアドバイスは一切聞かないなんて、よほど自分に自信を持っている人だからこそ言える言葉ではないか、と普通は思ってしまいがちです。
しかし、その辻さんの言葉を聞いた時、私はこんな風に理解しました。
この人は、自信があるから行動するのではなく、出来るか、出来ないかはさておき、やると決めた以上、その責任は全て自分が引き受けるという覚悟のようなものが根底にあるのではないかと。
このやり方で成功したら自分の自信になるし、失敗したら、それが間違っていたという事実がはっきりとわかる。
それは他の誰のせいでもなく、間違いなく自分自身の責任であると。
競争がし烈なハリウッドの世界で成功するには、とてつもない才能と努力と運が全て必要とされるはずです。
日経ビジネス電子版の対談の記事で、辻さんはこんなことを語られています。
・ビジネスと同様、ハリウッドでも関係者を全て納得させるものを提供しなければならない。
・そのためには、自分が求められていることを、しっかり把握する必要がある。
・並みの仕事をしていてはダメ、自分のこだわりを持って、他者との違いを打ち出していくことが重要である。
“やっていける”かどうかより“やりたい”という情熱があったから、ここまでやってこれたんだと。
そして最後に、“今やっている仕事に悩んでいるビジネスマン”に対してメッセージを伝えられます。
・自分がやりたい仕事が何であるかをきちんと理解することが大事。
・死ぬときに後悔しても遅い。
・思ったほど人生は長くない。
・自分に正直になって見極めることが大切。
・その時に、今まで積み上げたものを一度捨て去るようなことになったとしても、本当の喜びや成果を手に入れたいのなら、勇気を持って前に進んで欲しい。
辻さんは、高校時代に「自分はコレだ!」というものを見つけた時、とてつもないパワーが内側から湧き出たのだと思います。
英語は得意ではなかったようですが、“やりたいこと”が見つかれば、それに引っ張られるようにして習得されていったそうです。
全ての源は、“自分が本当にやりたいこと”です。
そうは言っても、そこにいろんな条件や前提が加わるのが現実です。
「“やりたいこと”はあるけど、その収入では、家族を養っていけない。」
「せっかく、何十年にもわたってこの職業を続けてきたんだから、今更仕事を変えるなんて、これまでのキャリアを無駄にしてしまうことになる。」
その時に、理屈をつけて簡単に諦めてしまうのか、それとも、他に選択する道はないのかを考え、少しでも“やりたいこと”に近づくように仕向けていくのか。
こうした考え方、行動の違いが、自分の人生を大きく変えてしまうような気がします。
“やらずに後悔するよりも、やって後悔した方がいい。”
辻さんのメッセージから、より良い人生にするための勇気の言葉を、私は思い出したのです。