少し前ですが、同じ著者の本を2冊連続で読みました。
この本を読んで、“どのようなことができるのが優れたリーダーなのか”ということを考えさせられました。
本の感想も含めて、お伝えしたいと思います。
著者は、課題意識というものの重要性を次のように説かれます。
・リーダーは誰もが会社に対して「問題意識」は持っている。
・しかし、「課題意識」を持っているリーダーは少ない。
・「課題意識」を強く持ち、自分のやるべきことを明確にして、実行できるのが優れたリーダーである。
さて、「問題」と「課題」という似た言葉を使い分けられています。
皆さんは、この違いをきちんと説明できますか?
・「問題」とは、あるべき姿と現状の差が出現したときに起こるもの。
・「課題」とは、その問題に対して、自分は何をしなければならないのか、自分はどう解決しなければならないのか、ということを特定化したもの。
端的に言えば、目標とのギャップが「問題」で、そのギャップを埋めるためのアクションが「課題」になります。
その上で、リーダーのやるべきことを、次のように言われます。
・会社の問題を自分事、チームごとに落とし込むこと。
・漠然とした問題意識を持つのでなく、問題を自分の課題として捉える課題意識を持つこと。
・問題を課題に変えて、その解決に取り組めるのが優れたリーダーである。
こう説明されると、2つの意味が全く異なることがお分かりいただけると思います。
また、シンプルに考え、行動することの重要性をこのように言われます。
・部下とのコミュニケーションやマネジメントに関して、小難しい理論やノウハウなど必要ない。
・例えば、部下である営業マンが外出するときにリーダーはどんな言葉を掛けるか
・「がんばれよ」「しっかり頼むぞ」ではない。
・「今日はどのエリアをまわる?」「どんな戦略を立てた?」「どのような方針で攻める?」という簡単な質問を投げかけるだけで、部下の頭は整理される。
「まず、理屈、理論などいらない、難しく考えるから上手くいかないのだ。」
世の中には、どこかの権威ある学者などが提唱した様々な理論があります。
また、人間の心理を分析して、コントロールするようなノウハウも溢れています。
現代社会は複雑になっているから、それに対応するためのノウハウも複雑化していく。
「そうではなく、もっと、シンプルに考えればいい・・・」
お勤めされていた花王で、課題解決に向けてリーダーシップを実際に現場で発揮されていた阿比留さんだからこその説得力があります。
そして、リーダーは部下に気合を注入したりするのではなく、またリーダーが決めた内容を忠実に実行させることでもない。
部下に“考えさせる”こと、そして“アウトプットさせる”ことで、課題を明確にさせること、それが優れたリーダーの役割である。
そんなことを考えていると、会社員時代のある上司のことを思い出します。
その方は私から見て優れたリーダーでした。
何故そう思うのか?
振り返れば、その方には、次に挙げる3つの思考習慣があったからだと思います。
1.目的意識
2.仮説思考
3.判断軸
実際のビジネスの現場は、クレーム、トラブルなどの問題だらけです。
それにどう対応していくのか。
時間と闘いながら、常にリーダーは答えを求められます。
その時に、何を拠り所とするのか、というのが非常に重要になります。
そうした時には、結論を導くために、3つの思考習慣が威力を発揮します。
「これは何のためにやるのだろうか」・・・目的意識
「〇〇さんが私だったらどうするだろうか?」「私が〇〇さんだったらどうするだろうか?」・・・仮説思考
「私はこれをベースとしてこう考える」・・・判断軸
先ほどの元上司は、この3つの思考にブレがありませんでした。
その方は頭の回転も良く、クレームを受けた時の対応が迅速かつ丁寧だったのです。
もちろん、人によって“優れたリーダー”の定義は異なります。
特に、自分が苦手としていることが、さらりと出来るリーダーは、「素晴らしいリーダー」に映るでしょう。
しかし、目に映ることよりも、その奥にある本質のようなものを見つめると、実はシンプルな短い言葉で表現できるように思うのです。
複雑化した社会だからこそ、それに対抗できるのはシンプルで本質的な考え方であることを気付かされたのです。