先日、視聴者が数百名規模になる教育関係のオンラインセミナーをzoomで受講しました。
その時に感じた、チャットでつぶやかれた短い言葉だけの怖さについて、お伝えしたいと思います。
そのセミナーの講師は、教育系の会社を起業され、世界にいるビジネス界の巨人といわれる著名人と共同で講演をしておられるような方です。
視聴者が多いため、画面には講師しか映らない設定で、視聴者が出来ることは“チャット”、“挙手”、”Q&A”での質問だけ。
最初に、パワーポイントのスライドを共有され、主題、コロナ禍で起きている問題、そして3つのポイントと結論を早々に提示されます。
そして、本題に入ろうとする前に、スライドを使ってまずは自己紹介を始められます。
起業された会社がどんな理念に基づき、どのような価値を提供しているのかを説明されます。
その後、世界中の誰もが知っている超有名企業の創業者などとその講師が一緒に写っている画像を何枚か見ることによって、その講師の方の活動領域、人脈の広さ、行動力が推し量られるのです。
そして著名人と一緒に写っているスライドが何枚か紹介され続けた途中に、参加者の1人が、ふと“チャット”で全員に対してこうつぶやかれたのです。
「講師の知識の多さと、著名人との人脈が凄いことはわかりました。」
正確ではありませんが、概ねこのような表現だったはずです。
次々とスライドで著名人と握手している様子が紹介されている時、このつぶやきに私は少し驚いたのです。
この時の私は、どうしてこういう表現をされるのだろうと思ったのです。
つまり、この言葉は何か棘があるのではないかと。
「あなたの人脈が凄いことは十分わかりました。それであなた自身はどうなのでしょうか?」
ということを暗に伝えたいのではないかという考えがよぎったのです。
また、このつぶやかれた方は、もう著名人と太いパイプを持っているということは、十分わかったから、早く本題に入って欲しいという別のメッセージも込めていたのではないか。
ひょっとしたら勘違いかもしれませんが、その講師が一瞬、詰まった感じになったように私には見えました。
そうなると、こちらの方も、何かドキドキし始めるのです。
それ以降、本題に入ると、そのつぶやかれた方が、かなり積極的にチャットで参加されます。
しかし、それは、講師を肯定・称賛する前向きなコメントばかりでした。
それが、終盤まで続いたので、私はようやく捉え違いをしていたことがわかったのです。
ただ単に、「人脈が凄い」と感嘆していただけだと。
顔が見えず、声のトーンもわからない言語だけの文章は、その時々の状況によって、内容が変わる危険性をはらんでいるということを実感したのです。
私自身、こうした話に限らず、普段の仕事や生活でも、言葉だけで勝手に解釈していることが他にありそうだと感じました。
オンラインがますます世の中に広がるので中で、伝える側、受ける側に齟齬が生じる危険性があることをきちんと認識して利用しなければならない。
自分の都合の良いように解釈してはいけない。
自分に対しての戒めにしておかなくてはいけない、そのように感じたセミナーでの一幕でした。