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第121号 「なぜ僕らは働くのか」から教わる「好き!」を深掘りしてみると発見できる自分の本質

 

先日、書店で平積みされていた1冊の本に目が留まりました。

 

 

「なぜ僕らは働くのか」 監修池上彰

 

 

私が書籍を購入する時、何を指標にしているのかはいたってシンプル。

 

タイトルと目次を見た時、自分の心の琴線に触れるかどうかです。

 

この時、琴線に触れたワードは次のようなものでした。

 

 

「仕事は誰かの役に立つこと」

 

「何のために働くのか」

 

「好き、得意から仕事を見つける」

 

「幸せに働くために」

 

「人生100年時代」

 

「自分の人生に向き合う」

 

 

柔らかいタッチの漫画も挿入されて、読みやすそうでしたので、自分が読んでから息子にも読ませようと思い、購入しました。

 

読み終えて、印象に残ったのは、次の3つの言葉です。

 

 

1.好き、楽しい、面白いと思うこと、その理由を考えることが、未来の可能性を広げて、具現化してくれる。

 

2.周囲に見つけてもらった自分の長所は、世の中で人と関わる時に大いに発揮される。

 

3.いい子を捨て、自分の人生を作る。

 

 

また、この3の中では、次のように主体性を持つことの大切さを強調されています。

 

 

・大切なことは、自分の人生に責任を持てるのは自分だけ。

 

・周囲はあなたのためを思っていろんな助言をしてくれるが、それを受け止めた上で、受け入れるかどうかは自分で決めなければいけない。

 

・自分の人生の主役は“あなた”である。

 

・人任せにしない自分の納得がいく人生を送ろう。

 

 

さて、これらの中で、私は特に「好き」に注目しました。

 

私の私見も入れながらご紹介しますが、次のようなことが述べられていました。

 

 

1.好きを活かせる仕事は1つだけではないことを知ること

 

つまり、サッカーが好きだからサッカー選手になることが唯一の道と思わなくていい。

 

また、ピアノが大好きだからといって、ピアニストとして活動することが唯一の道でないと知っておくこと。

 

プロのサッカー選手やピアニストとして、それだけで食べていくようになるには、大変な努力や才能が要求されると聞きます。

 

仮にプロになる夢が叶わなくても、自分が納得できるのであれば、サッカーに携われる仕事に就くことは可能だということ。

 

 

例えば、

 

スポーツトレーナー

 

スポーツ記者

 

サッカー用具の開発者

 

クラブチームの広報

 

などです。

 

 

ただし、一点だけ注意しておくことがあります。

 

例えば、クラブチームなど裏方の世界にどっぷり浸かった時、外から想像していた世界と大きなギャップがあることを知り、サッカー自体を嫌いになってしまう可能性もあるということをあらかじめ理解しておくことです。

 

当然のことかもしれませんが、“好きだけはやっていくことが出来ない”こともあるのだと、はじめから認識しておくことです。

 

その上で、「この気持ちを活かせる仕事にはほかにどんなものがあるのだろうか」と考え続けていれば、たくさん職業を知ることにつながると、この本で綴られているのです。

 

 

2.好きなことについて、「なぜ好きなのか」「どこが好きなのか」と深く考えていくと、自分に向いている仕事が全然違うところにあることに気付くことがある。

 

 

ひとつの事例として挙げられていた“料理が好き”というのは、深く突き詰めると次の2つのような好きが見つかるかもしれないというのです。

 

 

①順々にステップを踏むということが好き

 

つまり、食材を買い揃え、下ごしらえをして、炒める、煮る、焼く、盛り付ける、提供するなどの過程を好むのであれば、それは料理でなくとも、研究などの職でも良いのかもしれません。

 

 

②何かを作るのが好き

 

この場合、作る対象が料理でなくとも、困っている人を助けるためのサービスやあれば非常に便利な商品を作るということが好きなのかもしれません。

 

 

もうひとつの事例としては、“ゲームが好き”というものですが、これも次の2つのような好きが見つかるかもしれないというのです。

 

 

①戦略が好き

 

これは、特にシミュレーションゲームが好きな人の傾向かもしれません。

 

状況を見極め、限られた資産で、最大の効果が得られるよう策を練る、こんなことがたまらなく好きというような人です。

 

 

②物語にひたるのが好き

 

これは、ロールプレイング・アドベンチャーゲームが好きという人の傾向かもしれません。

 

世界観やキャラクターをデザインして、空想することが好きなら、小説家、漫画家などの職業の適性があるのかもしれないということです。

 

 

もちろん、本当にゲームをすること自体に大きな喜びを感じることが出来る人なら、e-sportなどの分野に身を置くのもいいのかもしれません。

 

 

私が最も自覚的になる必要があると感じた箇所は、次の一文でした。

 

「“なぜ好きなのか?” “どういうところが楽しいと思うのか?”という理由を考えることは、とても重要です。」

 

実は私は、自分のキャリアを真剣に考えるようになってから、普段の行動が大きく変化したのです。

 

その一例として、次のようなことを楽しむ頻度が増えたのです。

 

“読書” “映画” “旅行” “音楽” “食事(料理とお酒)” “銭湯” “身に付けるもの”

 

自分でもこれらの分野には結構資金を投じたと思っています。

 

前職では、一緒に食事に行く職場の仲間からよく言われたあだ名が「ミスター千円」でした。

 

昼食であっても、1000円以上出すことに躊躇しない奴という意味で、そう呼ばれていました。

 

 

そして、ふと考えることがありました。

 

「自分は何故この分野に積極的にお金を投じることをするのだろうか?」

 

「何故そんなに好きなんだろうか?」

 

それらを事あるごとに、自らに問い続けていた時、ふと答えらしきものが頭に浮かんだのです。

 

 

私が好きな映画のひとつに、新海誠監督の「天気の子」というアニメ作品があります。

 

王道の「君の名は」でないところが、私らしいのかもしれません。

 

私は、主にRADWIMPSのボーカルの野田洋次郎さんとタッグを組んで、映像と音楽を高次元で融合させた稀有な作品だと理解しています。

 

主人公が世界の形を変えてしまう最後の決断を、その時代を生きる全ての人に向けて問う覚悟で、全身全霊を掛けて練り上げられた映像と音楽の共鳴に、私は心をつかまれました。

 

人生の中で、同じ作品を2回とも映画館で観た唯一の映画です。

 

もともと、映画をたくさん観る人ではないからかもしれませんが。

 

 

恐らく“映画”や“読書”が好きと言っても、好きなものとそうでないものがある。

 

なら、自分はどうして、またどこに惹かれるのか。

 

 

それは、人の熱い想い、作り手のこだわりに触れる。

 

大いなる歴史や物語を感じる。

 

そうした素晴らしさ、本物の良さを誰かに伝えたい。

 

 

単なる“映画”や“読書”という言葉の奥に隠れているこうした本質が自分の中にあるのではないかと考えるようになりました。

 

 

私のキャリアデザインセミナーでも、こうした問いを自分に向けて内省していただくワークを組み入れています。

 

 

ご興味のある方は、是非“個人向け様セミナー”をご覧ください。