先日、とある大手研修会社主催の「リーダーシップ研修」に受講生として参加してきました。
リーダーシップの中身を学ぶこと以上に、次のような視点で1日研修を受講しました。
・講師が受講生に対して行動変容を促せるようどのような働き掛けをしているのか。
・個人ワーク、グループワークの組み込み方、所要時間などの設定
つまり、自身がリーダーシップ研修をする場合に参考になるものを得にいこうということでした。
結論から言うと、得たものはたくさんありました。
多数決で私がグループリーダーに任命されましたし、実りあるワークにすることも出来たと思っています。
しかしながらワーク以外は、当然ですが基本レジメに沿った形で進行されるので、書かれている内容自体に引き付けられるものがなければ、講師がその内容に沿った経験談や事例をタイミングよく出せないと、面白みに欠けてしまうということがわかりました。
つまり、受講生を引き付けるレジメ、またはパワーポイントを用意しなければならない。
もう1つは、その内容を深めるまたは広げる講師のスピーキング力がないといけない、ということです。
その講師の方は、誰もが知る外資系IT企業の人事研修部門で社内研修講師をしてこられ、定年を機に大学の非常勤講師や研修会社で講師としてご活躍されている方です。
聞けば当たり前のことも含まれているかもしれませんが、次のようなことが学びになりました。
■研修導入時の安全・快適の説明
地震・火事発生時の対応、トイレの位置、喫煙場所、飲食ルール、ランチマップ案内、昼食や休憩のタイミング、ゴミ箱、室内温度、ブランケットの提供など
なるほど、こうしたことを最初からきちんと丁寧に説明すると、途中で「この後どうなるんだろう?」「トイレしたいんだけれど、どのタイミングでいけるのだろう?」などあまり余計なことに気を取られずに、講義に集中できることに繋がります。
■受講者の自己紹介
紹介する簡単なメモを作ることで、研修に慣れていない人でも、伝え漏れがなく自信をもって話ができる。
自分の紹介した内容に近い人は親近感を覚え、共感しやすくなり、その後のワークが活発になりやすい。
こうしたことは、単純に映りますが、取り入れる価値は十分あると思いました。
それと、受講して最も学びになったのは、自分自身の内省に関わることでした。
■自分の軸が明確になるとともに、柔軟性も持てるようになったこと
具体的に言えば、「私が望むリーダーシップスタイルの“ビジョンタイプ”を軸として、奉仕型と呼ばれる“サーバントタイプ”の要素を段階的に取り込んでもいいのでは」と思ったことです。
少し唐突なので、説明をします。
研修では、次のようなワークがありました。
「自分の現在のリーダーシップはどの類型が当てはまるか。」
選択肢は次の4つ。
牽引型
緻密型
奉仕型
ビジョン型
リーダーシップには切り口によっていろんな型があります。
この中で言えば、私のタイプは“ビジョン型”です。
ビジョン型とは、ビジョン・ミッションを明確に示し、そこに至るまでのプロセスは任せるというスタイル
長所:進むべき方向が明確なため個々の自主性を促せる
短所:リーダーがブレると一気に組織が崩れる可能性も
グループワーク後、全体で集計してみると、スタイルで一番多かったのは、別名“サーバントリーダー型”といわれる“奉仕型”でした。
近年このようなスタイルが徐々に広がってきたと言われています。
サーバント型:チームに奉仕する支援スタイル
長所:メンバーが自由に意見交換ができ、当事者意識を持ちやすくなる
短所:方針決定に時間が掛かり、知識・経験値が低いメンバーは脱落する危険性もある
ここ何年かで世の中が大きく変わってきています。
貧富の格差、少子高齢化、IT・ロボットなどの技術革新、地震・台風などの環境問題、価値観、消費者ニーズの多様化など・・・
望む望まざるを得ず、働く人の意識も変化せざるを得ません。
リーダーシップのあり方もしかりです。
これまでは上意下達の支配型リーダーが主流でしたが、最近はこうした奉仕型スタイルが広がっているといいます。
それを感じさせるような研修ワークの結果でした。
しかし、実はこれには続きがあります。
その後さらに次の内容のワークがありました。
「今後、自分がなりたいと思うのはどの類型か?」
その結果、“ビジョン型”が1番多いという結果になりました。
もちろん、こうした結果が世の中の会社員の考えの全てを反映しているとは思いません。
しかし、みんなに嫌われにくい指導スタイルで今はいるけれど、いつか強いリーダーシップでメンバーを導きたい、そのような考えを持っているリーダーは意外と多いのではないか、と分析しています。
私は、何故かこの結果を知って、ワクワクしてしましました。
そして、この研修で1つ大きな発見がありました。
自分の興味がある内容で、それを今度は自分がやるというつもりで受講すると、学びの吸収率が格段に上がるということです。
いろんなところで言い尽くされた話かもしれませんが、これは本当に実感します。
言い換えれば、講義を他人事としてとらえず、自分事として主体的に取り組むということだと思います。
リーダーシップの要は、周囲(上司・部下・他部署・取引先など)のせいにせずに、自分がどう変わらなければいけないのか、どう動かなければいけないのかを真剣に問い続けられるかということだと思います。
私が企画しているオリジナル研修もこの“主体性”を前面に出しています。
リーダーシップは「あなたにはこのタイプのリーダースタイルが一番合っている」と誰かから言われて決めるものではない。
「自分の望むリーダーシップは、問い続けた最後に自分でつかみ取るものである。」
受講生が「自分はこういうリーダーでありたい」と自信を持って宣言できるような締め方にしたい。
これは私が企画したオリジナル研修の誓いでもあるのです。