先週、職場で医療関連の情報誌が回覧されていました。
その中で、診察に訪れた患者を診る一部の医師の姿勢や態度について警鐘を鳴らすという記事が目に付いたのです。
それは、ここ数年で病院で急速に普及した電子カルテを利用する一部の医師が患者に不信感を与えているというのです。
例えば、患者が診察室に入ると、医師がパソコンにある電子カルテを見ながら、「今日はどうされましたか?」と尋ねます。
患者が話した内容などを、パソコンで入力していき、「じゃあ検査しましょう。」「1週間お薬を出しておきます。」などと言って、診察中ずっとパソコンのモニターを見てばかりで、患者の顔を全く見ることがないというのです。
この話を聞いて皆さんはどう思われますか。
「そんな医者はけしからん。」
「あるある、私のいつも行く先生もそんな感じ。」
「薬もらいにいくだけだから、そんなのどっちでもいい。」
人によって受け止め方はさまざまでしょう。
しかしながら、電子カルテが普及したとはいえ、診療所やクリニックへの普及率は統計上まだまだです。
ここで問題としているのは、紹介状や予約などが必要な一定規模の病院です。
こうした病院に出向くほとんどの患者は、困っている自分をきちんと診てほしいと願っているのではないでしょうか。
そうした時に、肝心の患者に目を合わさないのは、あなたには興味がないのですと思われても仕方がないのではと感じます。
私の職場におきかえても、似たような事例はあります。
「◯◯さん、先週お伝えした◯◯の件ですが・・・」
先輩が声をかけているのに、後輩はパソコン画面から目を離さないまま、「はい」と返事だけします。
これは、私は今とても忙しいので、正直話しかけるのは後にして欲しいんですけど、はっきりそう言うと角が立つので、そこのところはくみ取ってもらえますか?
そう心で思っているのでしょうか。
私の経験から申しますと、次のように言えばきちんと目を見て話をしてくれる可能性が高まります。
「◯◯さん」と声を掛けた時、顔をこちらに向けてくれるまで、続いて話しかけないことです。
無言のプレッシャーといってもいいかもしれません。
当然、相手の立場や状況等を考慮する必要はあると思いますが。
随分昔に亡くなったおじいちゃんから、、社会人となった私に言った言葉を今でも覚えています。
「◯◯(私)の悪いところは、人の目を見て話をしないところ。」
振り返れば、私自身、相手の目を見て向かい合うことをあえてしていなかったように思います。
今、こうして面と向かって厳しく正してくれる身内はどれだけいるでしょうか。
ところで、ビジネスには3つのQというものが必要とされるという話をご存知でしょうか。
1.IQ(Inteligent Quotient)
情報分析力、判断力
いわゆる、賢さ、頭の良さ
2.EQ(Emotional Inteligence Quotient)
心の知能指数
共感力、コミュニケーション力
3.PQ(Physical Quotient)
身体的指数
実践、体現などに関わる五感を使った能力
3つのQは、上記とは異なる捉え方もあります。
さて1、2をご存知の方は比較的多いような気がしますが、3は如何でしょうか?
唐突にこれを出したのも、この身体的指数といわれるものが、ビジネスでの成否に影響する大切な力だと思っているからです。
相手との信頼関係を構築するためには、次の4つの身体的な行動が重要だといわれています。
①視線
視線を合わせるということは、私はあなたに関心がありますということ。
②身体言語
表情、姿勢、動作が言葉以上に相手にメッセージとして伝わる。
③声の調子
話すスピード、声の大きさ、調子によって相手の気持ちとともにあるかがわかる。
④言語的追跡
相づちを打ったり、「なるほど」と発したりして、話を聞いてくれているというのが相手に伝わる。
この中でも一番シンプルでかつ重要なのが視線なのです。
”目は口ほどにものをいう”という格言があるのは、目が果たす役割は相当なものであるという表れでしょう。
目は自分の見たいものだけを見るために存在しているのではないはずです。
「安心してください。」
「あなたを理解しようと努めています。」
「あなたのことを大切に思っています。」
こうしたことを相手に伝えるために存在しているのではないか。
目の持つ力を今一度意識してみる必要があると感じた次第です。