つい先日、仕事中同じグループの女子社員からかけられた言葉にハッとさせられたことがありましたので、本日はそれについて思う所をお伝えさせていただきます。
四半期に一度、監査法人による往査というものがあります。
最近私は自部門の監査法人対応の窓口になりました。
これまでほんの数回ですが他部門で監査法人の対応をしたことがあります。
告白します。
「本当にこんなところまでチェックして、意味があるのだろうか?」
「こうすることが不正防止と関係あるのだろうか?」
当然ながら、全部が全部、こう思ってしまうということではありませんが、業務の全貌を把握していないせいでしょうか、どっちでもいいのにと思ったりすることがしばしばあるのです。
そう言えば最近、大手自動車会社の社長が有価証券報告書に報酬を過少申告したとして逮捕されたというニュースが話題になりました。
「うちの会社でやるよりも、もっと監査をする必要のある会社は他にあるでしょうに・・,」
なんて思ったりする会社員の方も多いのではないでしょうか。
さて、そんなぼやきは横に置いて、この監査法人の準備に追われていた時の話をします。
実は、現在監査法人の窓口をしているのは、年下の一般職のベテラン女性職員なのですが、諸般の事情により、その役割を直近から私が引き継ぐことになりました。
監査当日は、監査法人の公認会計士が数人訪れ、こちらが用意した伝票や帳票類と内部統制フローの手順どおりに運用されているかを確認されます。
基本今の部署においては、物量的な関係から監査が丸一日で完了するように、提出する帳票類に漏れが無いか、不備が無いかを確認します。
いよいよ監査が明日になったところで、彼女の最終チェックが入ったのです。
詳しくはお伝え出来ませんが、一部の資料で不備が見つかりました。
彼女から少し前に、これはコピーではなく、必ず原本を関係者から入手しておいて下さいと頼まれていたのです。
私はそれぞれの関係者に、依頼をしていたのですが、強く催促していませんでした。
結果的に一部は原本の到着が間に合わなかったのです。
そして彼女が私に向かってこんなことを言いました。
「私が担当してから数年間、こうした準備不足による不備はありませんでした。ただ、残念です・・・」
私にとって、この言葉が凄くインパクトがあったのです。
なんか、重い感じがしたのはどうしてだろうと、その日は、少しもやもやしたものが私の心の中に残っていました。
そして、この出来事があったちょうど翌朝に、日経モーニングサテライトというビジネス情報番組を流し見していた時のことです。
相手との良好な関係を作るための会話術を話題にした「朝7時のビジネスドラマ」が放送されていました。
「部下の指導はアイが大切」
この場合のアイはアイ・アムの I(私)、それと(愛)をかけているようです。
端的に言えば、「相手にきちんと伝わるようにしたい、動いて欲しいと願うのであれば、ユーメッセージを主語にしなさい」というものでした。
「あなたが、ミスをしたせいで、顧客に多大な迷惑が掛かり、会社の信用を落としてしまったじゃないか!」
というような、主語を YOU にするのではなく・・・
「私は、君に期待していたが、こういうミスで評価を落とすのはもったいないと思うよ」
というように、主語を I にして相手に伝えるのが効果的であるというものでした。
これを見た時、ハッとしました。
「そうか昨日彼女が発したのは、まさしく I メッセージだった。」
「もう、〇〇さん、私の言ったことを忘れたらだめじゃないですか!」
ではなく
「これまで一度も起きなかったことなのに、(私は)残念です・・・」
彼女は、これまで一度も起きなかったという事例を挙げた上で、自分の想いを言葉にしただけです。
なぜこんな事態になったのか、私が何をしていたのかを追及することはありませんでした。
相手が目上であれ、目下であれ、この I メッセージは相手に与える影響が大きいと実感したのです。
「事実を述べ、自分の気持ちを伝える」
「(あなたが)ダメじゃないですか」
よりも
「(私は)残念です」
の方が相手に内省を促すことにつながり、効果的である。
これは使えると、自分のミスを棚に置いて、実感した出来事でした。