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第74号 吉野家からチャレンジ精神の大切さを知る

 

先日、大阪の阿波座近くに所用があり、一人で昼食場所を探していました。

私は吉野家の株主ということもあり、株主優待の飲食割引券を常時持ち歩いています。

たまたま近くに吉野家があることが分かり、割引券を使おうと決めて、その店に入りました。

すると、その店は私が知っている吉野家とは全然違ったのです。

白を基調としたカフェのような洗練された吉野家がそこにはありました。

入店直後は、少し違和感があったのですが、しばらくしてそれはほぼ消えていました。

入店後、まず受付で商品を注文して最初に支払いを済ませます。

その後、受取カウンターに自分で取りに行くというスタイル。

食事が済めば、食器などを返却口まで運ぶというセルフサービス。

テーブルや席の間隔もゆったりしており、落ち着いて食事ができます。

150円でコーヒーの飲み放題もあるのです。

その日まで全く知りませんでしたが、かねてからネックとなっていた女性客の利用率を高めようと、全国で数店舗ですが、試験的に営業していると店員の方が教えてくださいました。

私が20代の頃は、週一ペースで仕事の昼休みに吉野家の特盛を食べていました。

そこで、背広姿のサラリーマンに挟まれ、一人女性がカウンターで食べている姿を見た時は、凄く勇気のある女性だと感心していたくらいです。

その当時は、それほど女性が昼時に吉野家を利用するのが珍しかったのです。

しかし時代は変わりました。

そして当然のようにこれからも変わっていくでしょう。

私の乏しい想像力を働かせれば、こんなことも言えます。

このカフェスタイルは、若者をターゲットにした店作り。

これから、若者は減少し、高齢者が増加してきます。

これからは、高齢者でも入店しやすい、注文しやすい、食べやすい、片付けやすいような店作りが求められそうです。

また近い将来は、AIやロボットもいろんな形で店内で活躍しているかもしれません。

聞くところによると、実業家である稲盛和夫さんは、一番美味しいと思う食べ物は、300円程度の牛丼だそうです。

質素倹約がモットーの稲森さんらしいです。

 

今後は飲食業界に限らず、高齢者向けの商品開発があらゆる分野で加速していくのではないでしょうか。

約60年も続く伝統ある老舗企業が、こうしたチャレンジングな試みをすると、つい応援したくなります。

吉野家に負けず、自分も常にチャレンジングな精神を持って生きていかなくてはと、店内でコーヒーをすすりながら感じた次第です。