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第73号 無駄なことを無駄にしない知恵

 

この何年かで、働き方改革やワークライフバランスなどの言葉を見聞きする機会が非常に多くなりました。

 

どうすれば、1日の業務を効率化して、定時に帰るように出来るのか。

 

不要不急の業務を削減し、どれだけ生産性の向上を図れるのか。

 

・無駄な業務は無くしなさい。

 

・付き合い残業は止めなさい。

 

・獲得できる見込みの無い営業は止めなさい。

 

特に会社員の方は、こうしたことを上司から言われる機会が増えたのではないでしょうか。

 

しかし、本筋とは直接関係のないことでも、全部が全部無駄だからと言って切り捨てることは、私は少し違うような気がします。

 

私が高校生の頃、数学の先生から授業中に教えていただいたことがあります。

 

「勉強なんてものは、ついでにするもんだ。」

 

何か分からないことに出くわしたりした時、自分で調べることがあります。

 

そうした時、ふと「じゃあこれはどうなんだろうか」と、寄り道してしまうことってありますよね。

 

それが大切な習慣なんだと言われるのです。

 

効率を求め過ぎて、試験に出題されるような箇所しか学習しない。

 

そういう勉強の仕方を全く否定するつもりはありませんが、人生という長い文脈で捉えた場合、それ一辺倒だとプラスに作用しにくいのではないでしょうか。

 

それよりも、教科を横断しながら、様々な知識を関連付けて実社会・実生活に応用・発展させていくことができる人を私は尊敬します。

 

また別の話ですが、週末に筋トレに行きました。

 

こうして定期的に運動していても、私は肩甲骨の部分が張ってきたり、頸椎付近が頻繁に凝ってしまうのです。

 

そう言えば、以前かかりつけの医師からこんなことを言われました。

 

「小さなお子さんに、肩凝りや腰痛なんて症状、あまり聞かないでしょう。あれは、無駄な動きをよくするからなんですよ。」

 

「大人になるにつれて、動きに無駄がなくなっていく。関節など最小限にしか動かさないようになるから、凝ったりするんですよ。」

 

なるほど、そういえば、私の三男の話ですが、無駄な動きというか、意味不明な動きを常にしています(笑)

 

そうか、あれは無駄なことではなかったのか。

 

さらにとある著名な教授がお話しされていた「映画」の話をご紹介します。

 

「面白い映画を教えてください。」と質問された人が「〇〇〇〇〇です。」と答えます。

 

当たり前ですが、何が面白いかを決めるのはその相手、その人自身なのです。

 

そうなると本当はつまらない映画も含めて何本も見る必要があります。

 

つまらない映画を見るのは、時間の無駄かもしれませんが、でも無駄がないと、面白いものは選べない。

 

上記のような話は、会社業務とは少し異なりますが、一見無駄に見えるようなことも、プラスの意味が隠されているかもしれない。

 

そういうことを意識しながら業務の効率を進めることが、大切なことではないかと思うのです。

 

無駄なようなことを無意識でやり続けることがダメで、一見無駄に見えるようなことに隠された意味を見出し、それを他人にもわかるように伝える。

 

そうすると、本当に意味のない無駄が浮かび上がり、それが本質的な効率化につながるのではないでしょうか。

 

繰り返しになりますが、何でもかんでもやればいいということではなく、意義のある無駄を意識して、仕事に取り組む。

 

回り道をするから、いろんな気づきが得られる。

 

違う道を通ることで、近道も見つかる。

 

皆さんの周りにあるかもしれない「意味のある無駄」を探してみませんか。