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第59号 父親に向けた言葉は自分に返ってくる

 

今日はお休みをいただき、とある機関で、このホームページ作成ツールであるJIMDOの相談に行ってきました。
その帰りに私の実家へ両親の様子を見に行ったのです。
高齢ではありますが2人とも健在です。
父親は、週何日かデイサービスのお世話になっています。
一方母親は、なんとか自分の身の周りのことぐらいは、自力でやっています。
この日、父親とは久しぶりにゆっくり話をすることが出来ました。
父親は少し前から認知症が進行していると、主治医の診断を受けています。
その時は、私がする質問はきちんと答えてくれました。
父親は私の祖父から事業を引き継いでおよそ50年間、同じ仕事をしてきた人です。
趣味は特になく、好きなことと言えば、酒とたばこくらいでした。
そんな父親も歳のせいでしょうか、数年前に急に酒とたばこを辞めると言い、それから一切口にすることがありませんでした。
美味しくなくなったというのが理由だそうです。
また、仕事をする体力もなくなり、完全廃業となりました。
好きなものがなくなり、仕事もなくなり、趣味も特にない父親は、何をして過ごしているのか。
それは、テレビを1日中見続けるだけの生活でした。
これまで私が実家に帰ると、決まってテレビを見ているか、寝ているかのどちらかです。
老いると、体を動かすこと自体が辛い、だから家に居る。
家に居てすることと言えば、テレビを見ることだけ。
私はその光景を見る度に、父親の人生はこれで良かったのだろうか。
いや、これを反面教師にしないといけないのでは、なんてことを私は考えるのでした。
そして今日、腰を据えてゆっくり話ができたので、直球の質問をしてみたのです。
「老い先短いけれど、やり残したことはない?」
すると、ないと言うのです。
「今の生活は満足している?」
やることはいろいろあるのでまあ楽しいと言います。
「いろいろ?」
デイサービスで仲間と一緒に歌を歌ったりすることだそうです。
これは、私にとっては意外な反応でした。
私はてっきり、やりたいこともない、つまらない人生と思っているだろうと、考えていたからです。
傍からはそう見えてしまうのです。
ひとつ言えることは、長い間一緒にいた自分の父親でさえ、考えていることはよくわからないということです。
ましてや、人生の中で何が楽しくて、何が辛いかなどは、人によっては、真逆になる場合もあります。
もう少しで自分の人生に幕が下りるような父親の口から「今に満足している」という言葉が出たのです。
私も同じような年になった時、果たしてこの言葉が自分の口から自然に出てくるのだろうか。
自分から父親に問い掛けたいろんなことが、その瞬間にブーメランのように自分に返ってきたことを感じずにはいられませんでした。