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第54号 いつか分かってくれる時が来る

 

皆さんは、自分にはこれがあって良かったと思えるものとは、どんなものでしょうか?

 

・汗をかいて働かなくても一生悠々自適に生活できるくらいの資産

 

・若さや美貌

 

・他の追随を許さない専門知識

 

・大切な人

 

・医師・薬剤師・看護師などの医療系の国家資格

 

この5つは私が適当にチョイスしたもので、深い意味はありません。

 

つい先日、小学生の三男と一緒にお風呂に入っていた時のことです。

 

三男は常に話が唐突で、脈略なく自分の興味を持った話をする癖があります。

 

三男「パパァ、俺は一番下やから、パパと一緒に居る時間が一番少ないから損や~」

 

つまり、長男や次男との年齢差分は、私と一緒に過ごせる期間は短いはずだから、長男や次男と比べて損だというわけです。

 

私「そんなの、長い人生で見たら3年から6年ぐらいしか変わらんだろ。」

 

三男「年数じゃない、1秒でも惜しいくらいや。」

 

どこまで本気で言っているのだろうと私は疑っています。

 

三男「誰でも明日死ぬかもしれないし、それは本当に大事なことなんや。」

 

こう返してきたので、小学4年生の息子に、きちんと応えてやろうと決めたのです。

 

私「今、お前は非常に良いことを言った。そうや、偉い人の名言をお前に教えたろ。」

 

「アイフォンを作った人で、アップルのスティーブジョブズっていう人の言葉や」

 

私「もし今日が人生最後の日だったら、私は今日していることをしたいと思うだろうか?」

 

三男「?」

 

私「もし今日が人生最後の日だったら、私は今日していることをしたいと思うだろうか?」

 

三男「・・・」

 

私「もし今日が人生最後の日だったら、私は今日していることをしたいと思うだろうか?」

 

 三男「・・・なんかいい言葉や」

 

私「7つの習慣っていう本に、終わりを思い描くことから始めるっていう習慣の言葉があるんや」

 

三男「・・・」

 

私「自分の最後を思って、今本当に自分がやりたいことは何か考え抜くことが大事なんや」

 

三男「・・・」

 

私「明日が最後やったら、今日何する?」 

 

三男「・・・(テレビ)ゲームかな~」

 

私「ホントにそれがしたいか?」

 

三男「・・・・・・・・・・警察に捕まるような犯罪がしたい」

 

私「!!!。なんで?」

 

三男「普通に生きていたら、捕まえられた人の気持なんかわからんし、捕まったら自分はどんな気持ちなんかな~って」

 

なぜか少し深い話のような気がして、危うく本筋と離れそうになりましたが、無視して続けます。

 

私「本当に最後にそれをしたいのか?」

 

三男「・・・・・・・・・・・・、好きな人に告白する」

 

私「ええな~、誰かいるのか?」

 

三男「今はそんなんいいひん」

 

私「ほんまか~」

 

三男「・・・・ママに好きって告白して、チューする」

 

私「ええな~」

 

という何ともたわいのない、どうでもいい会話。

 

だから何っ?

 

って何もありません。

 

ただ、自分には家族が居てくれて良かったと心から思えた、それだけです。

 

今はきちんとした意味がわからなくても、なんとなくでもいいから、若い時から心に刻んでほしい言葉があるのです。

 

全部をわかってくれなんて思っていません。

 

いつか、あの時の父親の言葉は、こういうことだったのか、自分なりの理解をして、思い返してくれるだけでいいのです。

 

私が以前、新入社員研修を担当していた時に、彼らに向けていつかなるであろうリーダーのあるべき姿について、こんなことを言ったのです。

 

「リーダーは自分の仕事をゼロにしていくのが仕事!」

 

そして歳月が流れ、この新入社員の内の1人と10年ぶりに別の形で再会したのです。

 

すると彼から、それこそ唐突に言うのです。

 

「研修の時、〇〇さんが言われたことが、その時はあまり理解できずにいたんですけれど、今頃になってきて、ようやく〇〇さんの言葉の意味がわかってきました。」

 

と嬉しい言葉をいただきました。

 

そう、いつかわかる時がくるかもしれない。

 

自分がしなければならない仕事をどんどんなくしていく、つまり自分がいなくても回る組織にする。

 

自ら仕事をなくした人には、別の大きな仕事を任せたいといった声も掛かる。

 

そういうことがわかった瞬間の腹落ち感というのは、半端ないはずです。

 

息子もこのようなことをいつか言ってくれるのかな。

 

そう思うと楽しみでならないのです。