今日は、グーグルで人材開発を担当されていたピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書「ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち」から学んだことをご紹介します。
私が本屋さんで何を基準に購入しているかと言いますと、ひとつは、自分の興味、琴線に触れるキーワードがあるかです。
ですから、目次、サブタイトル、序章などを眺めて購入を決めるので、そんなに時間を掛けないのです。
私が興味を持ったのはこのようなフレーズでした。
「今の生き方、いつまで続けますか?」
「これからの成功者の定義」
「つねに学び、自分をアップデートする」
「偶然にどう反応するかで、次のチャンスに出会えるかが決まる」
ピョートルさんは日本で10年以上お仕事をしておられる外国人です。
そこで、企業や働く人を鋭く観察・分析しておられます。
そうか日本の古い体質や閉塞感はここに問題があったのかと、唸らされるのです。
また、読者に伝わるように、対比を上手く使いながら、問題の核心を分かりやすく表現されています。
代表的なのが、古い価値観をもったオールドエリートと新しい価値観を持ったニューエリートの解説です。
オールドエリートの6つの特徴
・欲深い
・地位に拘る
・計画主義的な行動
・閉鎖的・差別的対人関係
・既存のルールを守ることを重視
・誇示的な消費行動
ニューエリートの6つの特徴
・利他主義的な性質
・インパクト・社会貢献に拘る
・学習主義的な行動
・コミュニティ作りを意識したオープンな対人関係
・新しい原則を作ることを重視
・ミニマリズムな消費行動
いかがでしょうか。
これについて、日本は特に既存のルールを守ることを重視する傾向にあるのではと思うのです。
特に大企業になればセクショナリズムが強くなり、利害関係が複雑化します。
面倒くさくなり、何も考えず偉い〇〇さんから言われたからといって、右から左へ流すような仕事を続けてしまう。
時代や制度がとっくに変わっているのに、本質を捉えずに、また理解しようとせずにこれまでのルールに拘り続け、新しい原則を作ろうと働き掛けない。
ここで大切なのは、「新しいルールを作る」ではなく「新しい原則を作る」というところです。
細かい行動規範より、本質を突いた原則をみんなで共有することが、時代に取り残されない知恵なのではと感じました。
ピョートルさんは、過去から未来の働き方のステージを3つの段階で表現されています。
Work1.0 生産経済 勤勉さ・服従が必要
Work2.0 ナレッジエコノミー 知能・服従が必要
Work3.0 クリエイティブエコノミー 情熱・創造性・率先が必要
またご自身が考える成功とは「持続的に成長していることに加えて、選択肢があるかどうか」と定義されます。
例えば、企業で役員になっても、登り詰めた地位に安住しない人。
さらに、それに加えて、変化を受け入れ、乗りこなし、楽しむ対応力があるかどうか。
私にはこれしか道はないと近視眼的な見方をするのでなはく、いろんな道があることを理解した上で、自分が見たい世界を作っていける、こうした人が真の成功者ではないかと言われます。
ピョートルさんは、こうしたマクロ的視点からだけでなく、ミクロ的視点からも多くの示唆を与えてくれます。
ある就職活動中の女子学生がピョートルさんに相談に来ました。
「周りはみんな内定をもらっているのに、私だけ1社ももらってなく、とてもつらい、どうすればいいですか?」
そうするとピョートルさんはこう言いました。
「まず、今やっている就活を辞めたらいいんじゃないですか?」
学生は意表を突かれたようで驚きを隠せなかったようです。
ピョートルさんは、悩みの相談を受ける時は、相手の欲しい答えと必要な答えは異なることに注意する必要があると言います。
おそらく、学生は内定をもらえるような就活に役立つアドバイスをしてもらえると期待して相談に来たと思われます。
しかし、ピョートルさんのアプローチは違います。
「就活を辞める」というのは、「働かなくていい」ではなく、「道は一つではない」更に言うと「自分で道を作る方法もある」ことを知ってほしかったと言うのです。
既存のルートしか生きる道はないと思い込んでしまうと、自分の秘められた大きな可能性を閉ざすことになるからです。
また、自分をアップデートするために、学力よりも身に付けるべきことは、世界の問題を解決する力だと言われます。
端的に言えば、エネルギー、環境、食糧、貧困、水資源などの、答えが1つでない、それが正しかったかどうか自分が生きている間に確かめるすべのない大きな問題。
こうした自分の頭で考えて一つの解を導く力は、これから多くの人に必要とされる価値ある力といえるでしょう。
そして生産性を高める考え方ができるかが大事とも言われます。
企業で働く経理担当者を例に挙げられます。
自分は毎日、請求書や売上伝票を見て、エクセルに数字を打ち込む作業員であると捉えるか、会社にとって大切なお金を取り扱っている大切な部署の一員と考えられるかどうかと。
これに関して私が知っている同じようなエピソードを紹介します。
ジョン・F・ケネディがNASA宇宙センターを訪れた時のことです。
ホウキを持っている清掃員に、ケネディが何をしているのか尋ねたら、こう答えたというのです。
「大統領、私は人類を月に送る手伝いをしているのです。」
こうした考え方は、個人に起因するところが大きいと思いますが、組織のイズムが従業員全体にまで浸透している例ではないでしょうか。
例え歯車であったとしても、掲げた1つの目標に対して、自分がその大切な一部を担っているという感覚を大切にできる人は、周囲から大きな信頼を得ることになるでしょう。
これだけも沢山の気付きが得られるピョートルさんのニューエリート。
お伝えしていない部分を次号でも紹介させていただきます。