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第45号 自分にとっての最後を意識することが実りある人生を創る

 

今号もプレジデントの特集で紹介されていましたビジネス本についてです。

 

ランキングでは8位、スティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」です。

 

この本の解説は、フランクリン・コヴィー・ジャパンのブライアン・マーティーニ社長です。

 

読んだことはなくとも、これまで「7つの習慣」という言葉を耳にされた方は多いのではと思います。

 

人生を幸福にするための成功哲学が綴られている自己啓発本です。

 

その7つとは。

 

第1の習慣 主体的である

 

第2の習慣 終わりを思い描くことから始める

 

第3の習慣 最優先事項を優先する

 

第4の習慣 Win-Winを考える

 

第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される

 

第6の習慣 シナジーを創り出す

 

第7の習慣 刃を研ぐ

 

ここでそれぞれの説明はしませんが、シンプルな分かりやすい言葉で表現されているので、言いたいことがどういうことなのか大抵の方は想像しやすいのではないでしょうか。

 

特に印象的だったのは、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」であったとブライアン社長は言われます。

 

それは、人生の最後の姿を思い描きながら、自分が自分をどう作り上げたいか決めるということです。

 

セルフプロデュース(自己演出)のようなものでしょうか。

 

それをするためには、「ミッション・ステートメント」と呼ばれる、個人的な憲法、信条を書き上げることが望ましいと言われています。

 

自分の行動の基礎となる価値観や原則を文章化することです。

 

この文章化という行為が1つのポイントであると言えるでしょう。

 

人は常にあれこれ考える生き物です。

 

何か考えついた瞬間に、先程まで考えていたことが後ろに追いやられることになります。

 

時間が経てばたつほど、最初に考えた大事なことがおぼろげになったりして、後で思い出したとしても、関連が希薄になってしまいがちです。

 

そこで、言葉に置き換え、文章化することによって、そうした情報を整理し、体系化する。

 

こうした行為が、考えを確かなものにすることにつながるのではと思います。

 

そして、何かの行動をするごとに、自分で決めたミッション・ステートメントと照らし合わせるというのです。

 

皆さんが思い描かれる終わりとはどういったものでしょうか?

 

私が大切にしているのは、「家族」と「経験」です。

 

私は、自分が死ぬ間際に、家族に見守られながら「いろいろあったけれど、楽しい人生だったな。」と思えるようにこれからを過ごしたいのです。

 

こうしてブログで綴るという行為も、その意識を顕在化させることに役立っているのかもしれません。

 

7つの習慣では、次のようなアドバイスが載せられています。

 

自分のお葬式を想像して、参列者の記憶にどのように残りたいかを考えようというアドバイスです。

 

つまり、自分が生きた証を、モノとしてではなく、人々の記憶に中に残す。

 

そんな生き方も素晴らしいものであると感じました。

 

また、本とビジネスの関係について、アメリカの大手国際電話会社ITTの社長であったハロルド・ジェニーン氏の名言も印象的でした。

 

「本は最初から読み始めるが、ビジネスは逆だ。最後からはじめて、そこに達するためにしなければいけないことをするのだ。」

 

ビジネスというのは、スタートから考え始めるのではなく、まずゴールから設定して、次にそこにたどり着く方法を考えるべきであると言うのです。

 

いずれにしても、言うは易し、行うは難しでしょう。

 

終わりを何に設定するかは、自身に委ねられています。

 

人生の終着点でも構わないでしょうし、仕事における一つの到達点、区切りみたいなものでもいいかもしれません。

 

大切なことは、何をするにしても、頭の片隅に常に自分にとっての「終わり」を思い浮かべながら、人生を送るということ。

 

こうしたことの重要性を端的に表わしたアップルのスティーブ・ジョブズ氏の名言がこれです。 

 

「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?」

 

医師から余命宣告を受けた人は、残りの人生がとても濃密で、1日1日を大切に生きるといいます。

 

人生を豊かに生きたいと願うのであれば、自分にとっての最後を常に意識することはとても大切なことであると思うのです。