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第41号 最後は力の強いものが生き残る?

 

 私が学生の頃、PHSと携帯電話が覇権を争っていました。

 

PHSは地下街でもつながる、携帯は移動速度が速くなると通話が切れる。

 

こんな話をすると年齢がバレてしまいそうですが・・・(汗)

 

私の移動電話の変遷を辿ると、概ね、KDDIのPHS→ドコモ携帯→J-PHONE携帯→Vodafone携帯→SoftBankスマホです。

 

当時を振り返れば、文字中心のニフティーサーブのパソコン通信から画像、音声、映像を中心としたインターネットの世界に一気に進んでいった感があります。

 

技術革新が消費者に受け入れられれば、爆発的に普及することがわかりますね。

 

今私が毎日スマホを使って常々感心させられるのは、無料のGoogle Mapsです。

 

私が日々凄いと感じるのは、渋滞している道路に表示される赤ラインの精度です。

 

素人の私には、なぜこんな細かい情報がリアルタイムで個人のスマホで確認できるのだろうと思ってしまいます。

 

しかし、本当の凄さはそこではない。

  

少し前のことですが、Google Mapsの現在地で自分がどちらの方角に向いているか、今一つわかりにくいと感じたことがありました。

 

そんなことを思っているあいだに、扇型の進行方向表示に改良されていることがわかり、どんどん進化していっているんだなと感心していたのです。

 

恐らく、こういった類のことが、私たちが気付かないところで、何千、何万と起こっているのだろうと思います。

 

説明書がなくても直感的に操作ができるように改善・改良がなされ、それが知らない間に当たり前になって、生活の一部として我々の暮らしの中に溶け込んでいくような感覚に気付く。

 

これがGoogleの凄さの本質ではないかと感じました。

     

Googleに関連して、私が最近注目しているのは、自動車産業です。

 

先日、日産・ルノー・三菱陣営がGoogleとコネクテッドカーにおける技術提携をしたとの報道がありました。

 

コネクテッドカー、端的に言えば、インターネットにつながる車です。

 

インターネットを操るにはOS(基本ソフト)が必要になります。

 

皆さんご存知のGoogleのAndroidなのです。

 

ということは、Googleの製品が自動車用として組み込まれることになります。

 

そうすると、先述の地図アプリ「Google Maps」でカーナビゲーション。

 

「Google Play」のストアアプリサービス。 

 

CMでよく流れるOK Googleの「Google Assistant」を利用して、車で電話、メール、検索、車両機能も管理されます。

 

自動車マニアでなくとも、こうした技術が取り入れられた自動車を運転するのが楽しみになりますね。

 

ところで、パソコンのOSと言えば、Microsoftですね。

 

Windows95で世界を席巻し、超巨大企業になりましたが、これだけ新興企業が乱立している中で、一時ほどの勢いを失ったものの、未だに生き残っているのはどうしてでしょうか。

 

パソコンでOSを開発し、先に広く広めてしまったからでしょうか。

 

あらゆるところで、無料化の波が押し寄せ、その流れに乗ったからでしょうか。

 

いずれにせよ、OSを制することは、のちの事業展開で他社を大きくリードする可能性が高まります。

 

そうすると、今回の業務提携は、今後の自動車業界の将来を考える上でも、大きなターニングポイントになるかもしれません。

 

日産の自動車連合が、IT業界が自動車業界に参入してくるのをチャンスと捉え、デファクトスタンダードを狙っての提携かもしれません。

 

また、自動車産業の収益構造が大きく変わることを覚悟して、時代の流れには逆らわず、あえてIT化を受け入れたのかもしれません。

 

とにかく、自動車業界とIT業界とのこうした提携はこれからますます加速していくことでしょう。

 

そうすると今度は、トヨタの動向が気になります。

 

飲食業や小売業とは違い、これまで日本で自動車を作るメーカーはごく少数の限られた企業でした。

 

それは、エンジンや変速機の開発、製造、検査に膨大な費用と時間が掛かるからとも言われています。

 

これが参入障壁となり、おいそれと起業する会社などなかったわけです。

 

また前提として、燃料はガソリンでした。

 

ところが、電気自動車の出現が状況を変えてしまいました。

 

搭載する電池を大容量化、低価格化できれば、部品点数が少なくて済み、仕組みが比較的簡単な電気自動車は、参入障壁を一気に下げる効果が見込まれます。

 

さらに今後、コネクテッドカーの流れで自動車にAIが組み込まれるのは間違いありません。

 

豊田章男社長が「自動車産業は100年に1度の大改革の時代」「勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬか」と発言、また役員を大幅に入れ替えするなど、強い危機感を持っていることが伺い知れます。

 

かなりの数の下請け・孫請けを抱えるトヨタは、変化することで、周囲に大きな影響を与える存在です。

 

古くからある巨大企業はどうしてもいろんな関係に配慮した経営になりがちです。

 

それは伝統や既存の取引先を大切にするといったものです。 

 

私は、トヨタが電気自動車よりも、ハイブリッドや手間のかかる水素自動車に注力していったのは、これからも参入障壁を高いままにして、モーターとバッテリーで走る車を増やしたくなかったのかもしれないと想像したりします。

 

変えなければいけないと思う一方で、絶対変えてはならない部分もある。

 

それが何なのかを見極めることが大切ですが、とにかく何が正解だったかは最後になってみないとわかりません。

 

進化論を提唱したダーウィンが語ったと言われる次の言葉が頭をよぎります。

 

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」

 

自動車業界、今後の動向が気になりますね。