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第32号 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴さんの溢れる才能の源とは

 

Mrs. GREEN APPLE というバンドをご存知でしょうか。

 

著者プロフィールにもありますように、「サナカクション」や「Aimer」が好きで、中年ながら、どちらかというと肯定的な意味でハイカラなんだと思っています。

 

ハイカラの意味がわからないという方はコチラをご参照ください。すごく勉強になりました。

 

ハイカラとは?

 

少し前ですが、COUNT DOWN TVという音楽情報番組で、特定のアーティストの紹介があり、それがMrs. GREEN APPLEのボーカル大森元貴さんでした。

 

何となく耳にしたことはあったんでしょうけれども、そこまで興味を持っておらず、私にとっては、大勢のバンドグループの一つというぐらいの認識でした。

 

その番組で、彼の音楽に対する向き合い方、バンドに懸ける想いなどが紹介されていました。

 

このバンドが注目される一つの理由は、ポップ、ダンスミュージック、オーケストラなどを取り入れたジャンルレスなメロディーが斬新だからと言われてます。

 

5人グループでそれぞれメンバーに個性はあるものの、ボーカルでありながらほとんどの曲の作詞と作曲を手掛けているという大森さんが突出しているようです。

 

楽曲を作る時、曲(メロディー)を先に作って、それに詩(言葉)を乗せるというのが一般的と言われているのですが、彼の場合は同時というのです。

 

インタビュアーが彼に問い掛け、音楽ルーツを探ります。

 

彼は小さい頃から、音楽が好きで、目立ちたがり屋さんだった。

 

でも、それを実現する手段みたいなものが、何であるかがわからなかった。

 

小学校6年生で、自分でオリジナルの曲を作って、バンドを結成した時に、自分にはコレだと腑に落ちたという表現をされていました。

 

中学に進学する時には、自分の力で曲と詞を作る鍛錬の3年間にしようと心に決めていた。

 

当然周囲にはこんな早熟な考えをした人が居ないため、周りとの温度差に苦しんで、学校に行かずに曲を作っていたこともあった。

 

生徒のみならず、学校の先生に対しても、それは違うんじゃないかという疑問を持つことがあったと言います。

 

中学3年間で、200曲程度のオリジナル曲を作成し、1日3曲という時もあったとのこと。

 

中学生とは思えない暗めの歌詞が多いのは、何か世の中に対して不満みたいなものを抱えていたからなんですかと、インタビュアーが聞いた時、彼はこう答えます。

 

ご飯を食べるように曲を作っていたら、自然とああいう歌詞ができたと。


私は、このご飯を食べるようにという表現に惹かれます。


歯を磨くようにと言い換えてもいいかもしれません。


無意識で大きなことを成し遂げてしまうくらい自分にとっては普通のこと。


最強の習慣ですね。

 

これを聞いただけでも非凡な才能だと思ってしまうわけですが、中学校卒業後にメジャーデビューを目指すためのバンド結成時の話も唸らされます。

 

この時すでに理想のバンドメンバーが彼の頭にはっきりとあったのです。

 

①ドラマーは女の子

 

②年齢は全員バラバラ

 

③キーボードは明るめのキャラ

 

そして、具体的にメンバー集めのため彼は行動します。

 

自分がコレだと思った人にアプローチするのですが、その時にこんなようなことを言っていたとメンバーが振り返ります。

 

・自分はこういう曲を作りたい

 

・自分はこういうバンドにしたい

 

・自分と一緒にバンドをしていたら99%メジャーデビューするから

 

女性でドラマーの山中さんは、直感で彼についていけば間違いないと思ったと言います。

 

彼はリーダーではないのですが、自分を楽曲制作の「脳みそ」であり、方向性を決める「舵取り」と表現します。

 

ベースの髙野さんは、物事の見方や考え方が、若いのに非常に大人びていると言います。

  

 一体こういう感性は、どこに由来するものなんでしょうか。

 

気になって、ネットでいろいろ調べてみたら、彼とインタビュアーが対談している記事を見つけました。

 

仕事がないオフの日で、時間を決めて起きない日は、「贅沢しているなぁ」と感じるのだそう。

 

さらに、録画した好きなテレビなどを見ていていると、だんだん罪悪感が出てくる。

 

そうして外に散歩してしているとまた「贅沢しているなぁ」と感じるんだそうです。

 

  

私はこうした話から答えのようなものを見つけた気がします。

 

彼が大人びた雰囲気をまとっているのは、哲学、道徳、倫理というものに興味を持ち、人生観、死生観を持っているからでしょう。

 

彼はコミュニケーションに重きを置かない冷淡な世の中になってきているのではと、危機感を感じているようです。

 

中学生の頃から哲学の本をよく読んでいたと言います。

 

 

絶対的な正解があるのではなく、それぞれの正解があるような感覚が面白いと。

 

私が彼の人となりを表す一番印象的な言葉がありました。

 

「正解がない中で、僕はこう思うんだと話し合っていくことが、今の世の中で大事なことではと思うんです。」

 

これは、バンドを結成する時に、自分の熱い想いを伝えたことと同じです。

 

また、小学生から曲作りを手掛けていることもあって、他の音楽を取り入れることよりも、自分でアウトプットすることを最優先したと言います。

 

ここにも、周りがどうであろうと、自分にどんなことを言われようとも、私はこうだ、と言える強い気持ちが、彼の溢れる才能の源であると私は思うのです。