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第28号 「君たちはどう生きるか」から読書を考える

 

およそ9ケ月で累計200万部を突破した漫画「君たちはどう生きるか」、今さら取り上げますかという声も聞こえてきそうですが、私が書きたいから書きます(笑)

 

恥ずかしながら、最近まで私は読書習慣というものがあまりありませんでした。

 

まとまって読んでいたのは、小学生の時で、江戸川乱歩の怪人二十面相シリーズくらいです。

 

息子が小学生の頃に、怪人二十面相を勧めました。

 

それがきっかけで、私も少し読み返してみるとなかなか盛り上げ方が上手く感心させられるんです。

 

何といっても、昭和の初めの頃のさびしい雰囲気、暗い感じが、廃墟、森、木々、洋館などを駆使して上手く表現されているのです。

 

それはともかく、私は、今からおよそ80年前のこの小説「君たちはどう生きるか」について、話題になるまで、その存在すら知りませんでした。

 

うぅ、本当に恥ずかしい!

 

これだけ、話題になっているのであれば、勉強会のネタにも使えるかもしれない。

 

そんなことを考えて、はじめに小説を読み、その後に漫画。

 

それに加えて、読まれた方は少数かもしれませんが、「別冊NHK100分de名著 読書の学校 池上彰特別授業 君たちはどう生きるか」を読みました。 

 

ちなみに、私はここで書評を書くつもりはありません。

 

すでにいろんな方が、いろんな角度から書かれていますので。

 

今回これを取り上げたのは、こんな理由です。

 

私の中学生の息子が、夏休みの読書感想文で、どの本をチョイスするか悩んでいたところ、私が、じゃあパパの本を読みなさいと、小説版を渡したのです。

 

そうしたら、用紙5枚にびっしりと書いたようでした。

 

私が中学生の時なら、絶対勧められても読まなかっただろうなと思いつつ、書いた感想文をパパに見せなさい、添削してやろうと言ったのです。

 

しかし、生返事がしばらく続き、そうこうしているうちに二学期がスタート、結局見ることができませんでした。

 

それで「君たちはどう生きるか」がまた気になりだし、その別冊NHKを少し読み直すことにしました。

 

この別冊NHK読書の学校とは、ジャーナリスト池上彰さんが2017年7月7日に東京の武蔵高等学校中学校を訪れ、「君たちはどう生きるか」を題材として特別授業を行い、その様子を本にしたものです。

 

例えば、ロシア遠征で多くの兵隊を失わせたナポレオンを称賛するような記述があるから、これは戦争賛歌になるのではと捉えた多くの学生に対して、池上さんは違った見方もできると、歴史をもとに解説されます。

 

知の巨人の池上さんにかかれば、ほとんどの中学生は太刀打ちできません。

 

学生には、歴史を知識として学ぶだけでなく、それをもとに自分なりの仮説を立てることを習慣にすることを勧められます。

 

ですから、池上さんはこれは私の意見であり、これが正解だと言うつもりはないと言われます。

 

なにより大切なことは、読み方を深める努力をすること。

 

他の人がどう捉えたか、意見を聞いて、異なる考えがあることを知る。

 

そんなこと、書いてあったかなと思って、もう一度読み返す。

 

そうすると、流して読んでいた部分に作者の意図が見え隠れするのに気付くことがある。

 

現代は新刊が次々出てくるが、それよりも長く読み継がれてきた古典と言われるものをきちんと読む。

 

こうしたことを繰り返すことで、真に理解が深まると言われます。

 

そう言えば、私が勉強会でことある事に言っているフレーズがあります。

 

 

人生は出会った言葉の質と量で決まる。

 

人は自分が発している言葉通りの人生を歩む。

 

成長するために、たくさんの良い言葉を浴びる。

 

その方法は、1つは人との出会い、もう1つは読書。

 

 

以前の私がそうであったように、みんな本当に本を読もうとしません。

 

はっきりとは言えませんが、ネットで検索したら概要などが簡単に見れるからかもしれません。

 

何よりも読まなくても困らないからだとも思います。

 

今月のおすすめ書籍と題して紹介したりするのですが、それでもほとんど読もうとしないのです。

 

私のメンターでもある教育改革実践家の藤原和博さんが、パチンコをしないで、ケータイゲームをしないで、月1冊本を読んだら、100人に1人の人になれるというのがよくわかります。

 

ところで、こう書き連ねていると息子がどんな感想文を書いたのか、本当に気になってきました。

 

どうしましょう(笑)