· 

第23号 JCDA(日本キャリア開発協会)知識講習から学んだこと

 

私が保有している国家資格キャリアコンサルタントは、資格の質を担保するために、5年ごとの更新制度があります。

 

有料・無料はありますが、一定時間の知識講習と技能講習を受講して、更新手続きをしないと、免許が失効してしまいます。

 

私は、今月上旬からWeb上で行う知識講習を受講しています。

 

なお、JCDA(日本キャリア開発協会)の会員であれば、そこが主催する知識講習は無料で受講できます。

 

しかし、受付が開始されると、たった1日で1000名の枠が予約で一杯になるという珍現象が毎回起こっているようですが・・・

 

それはさておき、特にその一部の講義について、今後働く日本人にとって非常に有益な情報であると思われましたので、今回はその内容をご紹介します。

 

主題は「労働市場の知識」、副題は「今後の有望業界」です。

 

講師は東洋経済新報社 編集局 編集委員 田宮寛之さんです。

 

田宮さんは東洋経済に入社後、企業情報部記者として広範な業界を取材・研究され、著書も多数出されている方です。

 

分かりやすく解説されており、また興味を引くように話を展開されるので、すっと頭に入ってきました。

 

さて皆さんは、今後日本経済はどのように推移するとお考えでしょうか。

 

東京オリンピックが終われば、景気が失速して、緩やかに下降していく?

 

2045年頃にAIが人間の知能を超えるシンギュラリティー(技術的特異点)を迎え、ロボットなどに仕事を奪われ、失業者が増える?

 

私の職場の一人は、AIこそが人類のあらゆる悩みを解決してくれて、働く必要や悩む必要のない全人類が幸せになれる素晴らしい世界が訪れるのだと、言い張ります(笑)

 

そんな素人では検証も難しそうな漠然としたことをあれこれ考えるよりも、今起きている現象をきちんと把握・分析し、将来を予測するのが、これから働く人に必要なことではないでしょうか。

 

これまで隆盛を極めた業界が、何年後かに衰退していった現実を我々は歴史で認識しています。

 

時代の潮流の中で、もてはやされるもの、廃れていくもの、栄枯盛衰が常にあるのです。

 

そういう意味で、これから日本での有望業界を考える田宮さんの講義は、非常に価値のあるものだと思いました。

 

始めに、皆さんは、日本の将来の人口動態がどうなるかご存知ですか。

 

ちなみに、人口動態予測は、時間が経てば当然数値が変動します。

 

人数は、ビデオ講義が作成された時点でのものということでご理解ください。

 

総務省の統計によると・・・

 

2017年 1億2千万人

 

2053年 1憶人(内約4千万人が高齢者)

 

一方、世界の人口はどうなるでしょうか。

 

国連の統計によると・・・

 

2017年 76憶人

 

2050年 98憶人

 

なんと、世界全体では22億人も増加するとのこと。

 

これは私は知らないことでした。

 

こんなに日本と逆の動きになるなんて。

 

最新号のPREZIDENTで、2019年大予測として、ジャックアタリ氏と池上彰氏との対談が掲載されていました。

 

アタリ氏はこう語ります。

 

昔、日本はアメリカに肩を並べるくらいの大国になるであろうと予測したが、それは間違いであった。

 

人口減少がここまで深刻になるとは、当時は思ってもみなかったから、と言うのです。

 

人口減少は、やはり経済にとっては大きくマイナスに作用するのでしょうか。

 

そうだとしたら、活路を求めるのは、国内ではなく、海外と言うことになりますよね。

 

中年の方々であれば、昔、学校の授業やメディアなどで貧困の国を見聞きしたと思うのですが、今は随分と様変わりしていることはご存知でしょうか。

 

インドやバングラデシュはその代表例。

 

こうした国が急激に経済成長すると何が起こるか。

 

かつて、戦後の日本のように、また最近までの中国のように、環境汚染が起こります。

 

大量のごみの処分やPM2.5の大気汚染問題です。

 

そうすると、次に起こることは何か。

 

インフラ整備です。

 

そのためには、大型のプラント工場が必要になります。

 

そうすると、建設や運営のためのノウハウが必要になります。

 

ここにビジネスのチャンスがあるというのです。

 

ビジネスと言えば、次に水ビジネスを挙げられました。

 

水の大半は海水であることは、疑いのない事実ですが、真水は海水を含めた水全体の何%あるのか、おわかりでしょうか。

 

実は真水は全体の0.01%しかありません。

 

ですから、海水を真水に変える技術は有望株なのです。

 

まず、海水をくみ上げる機械のメーカー。

 

その機械の部品には、塩分に耐性のあるチタンが必要になるため、そのメーカー。

 

ろ過するため必要となるフィルターのメーカー。

 

さらに、競争力の高い製品を海外に提供できるかが、重要であると言われます。

 

例えば、木を細かくしてできるセルロースナノファイバー。

 

これは、鉄の1/5の重さで、かつ鉄の5倍の強度を誇る優れた素材であり、それを製造できる製紙メーカー。

 

最後に、環境対応として電気自動車を挙げられました。

 

電気自動車に搭載するリチウムイオン電池の主要材料であるセパレーター(絶縁材)を製造する化学メーカー。

 

この講義を受けて、重要だと思ったことがひとつあります。

 

それは、こうした人口動態を目の当りにして、悲観するのか、商機と捉え、海外に打って出るのか、それによって結果は全く違うものになるということ。

 

こうした内容は、直接仕事に影響しない方もいらっしゃるでしょう。

 

しかし、こうした知識を持って、世の中を眺めるといろんな変化に敏感になるのではないかと思うのです。

 

株をする時にも役に立ちそうですよね。

 

学ぶことの重要性を再認識した実りのある講義でした。