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第22号 打算のない言葉は人の心を動かす

 

さて、前号に続き長野での家族旅行のお話です。

 

残念ながら今週の前半は常に雨が降っており、傘を差さない日はありませんでした。

 

徳澤園に到着した日の夕方、浴衣に着替えて、部屋のベランダの椅子に腰を掛けて、お茶をすすりながら本を読んでいたのですが、急に雨足が強くなってきたのです。

 

普通なら、折角の旅行の日に雨なんてと、がっかりするようなものですが、雨の音を聞きながら、本を読んでいると、不思議なことに心が穏やかになり落ち着くのです。

 

「これもありかな。」と思えたのです。

 

そういう偏りのない気持ちがそうさせたのかはわかりませんが、翌朝は快晴となり、徳澤園からすぐ見える穂高岳だと思うのですが、雨上がりの澄んだ空気の中で、くっきりとその山並みが眼前に広がっていたのです。

 

「あぁ、これで良かったんだな。」

 

夕食に引き続き美味しい朝食を取り、腹一杯にして徳澤園をあとにしたのでした。

 

三男は知っている道を戻るので、今度はあまり文句を言うこともなく上高地バスターミナルまで歩いたのでした。

 

2日目は、安曇野に向かいます。

 

私個人は、いろいろ行きたがる人なので、これが終わったら、次はこちらに移動してと、時間を効率的に使って、最大限の満足度を得ようとしてしまいます。

 

ただ、3人の子供が一緒だと、食事のタイミングやショッピングなどの付随する時間も必要になります。

 

家族旅行ですから、自分だけのペースで全て進めることはできません。

 

結局その日は、国営アルプスあずみの公園を散策し、素泊まりで予約していたユースホステルに荷物を置いて、「安曇野花火大会」に行くだけのものとなりました。

 

人生で初めて訪れた、安曇野で特に感じたことがありました。

 

それは街灯がほとんどないということ。

 

危ないので本当はダメなことなんですが、走行中に一瞬だけヘッドライトを消してみると、あたりが真っ暗闇になったので、子供が珍しいので大喜び?していました。

 

そして、長野旅行最終となる3日目も、人生初となる「諏訪湖花火大会」です。

 

我が家は、有料観覧席ではなく、早めに行って無料で鑑賞するスタイルです。

 

このため、他へ寄り道をせず、諏訪湖花火大会で1日をつぶすということになりました。

 

途中雨が断続的に降りましたが、打ち上げに支障の出るほどではなく、豪快な花火が綺麗に見えました。

 

これで全行程が終わりました。

 

そして、帰りの車の中で、ふと三男が語った言葉が心に残ったのです。

 

「パパ、いつもありがとう、いつか、パパとママに恩返しをしないといけないな」と。

 

三男は時々こういう少し照れ臭くなるような事でも、臆することなく言葉にします。

 

とにかく、感情の赴くままに言葉を発する子供なので、機嫌が悪くなると中々困ったことになるのですが、見方を変えればそれは自分に正直であるということ。

 

だから、こういう言葉も打算がないと思えるのです。

 

大人になってもこういう事がさらりと言えるようにありたいものだと、三男から考えさせられた旅行の一コマでした。