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第20号 リーダーに求められる必要なものを1つだけ挙げよと言われたら

 

最近ですが、仕事でビジネススキルやビジネス教養をテーマに講師をしている関係で、リーダーの在り方、また行動などの話題については、つい興味を持って自ら学ぶ習慣が少し付きました。

 

それは、勉強会のネタ探しという面もあると思います。

 

つい先日、私のメンターの一人でもある人材教育会社を経営されている紀藤康行さんが、メルマガにて、リーダーシップの世界で有名な田坂広志さんという方の講演動画を紹介されていました。

 

『田坂広志が説く!リーダーが持つべき「死生観」「覚悟」とは?

 

約45分間でひとつのテーマをお話しされたのですが、なるほどと自分に響くものがありました。


田坂さんはこう問いかけられます。

 

「リーダーに必要なこととは何ですか?」


「リーダーに最も大切なことは何ですか?」

 

「皆さんならどういった回答をされますか?」

 

私なら、「信頼・誠実さがあって、常に明確なビジョンを持ちながら、アグレッシブで、メンバーの長所を見つけられる洞察力があり、コミュニケーション力に優れていること」なんて堅く言ってしまいそうですが、この田坂さんは、こう言われます。

 

「リーダーに必要なものを一つだけ挙げるなら、死生観を持つ覚悟があるかどうか」

 

「リーダーに死生観が必要?」

 

予期せぬ方向から矢が飛んできた、自分にはそんな感じでした。

 

話を聞くと、昔は、死生観を比較的持ちやすい環境にあったとのこと。

 

死生観を持つために、田坂さんは次の3つを挙げられています。

 

①戦争

 

②大病

 

③投獄

 

しかし、現代においてとくに①と③は経験するのが困難というか、それはそもそもダメじゃないかと思ってしまいます。

 

当然、田坂さんもそういった反論があることも理解されておられ、現代においては、次の3つの考え方を深く考え続けることで、死生観を持てると言われます。

 

(1)人は必ず死ぬ

 

(2)人生は一度しかない

 

(3)人はいつ死ぬかわからない

 

この(1)~(3)は誰もが知っていること。

 

しかし、これが頭で理解している、知識として知っているだけでは、ダメです。

 

これらのことを他人事でなく、自分事にできるかどうかです。

 

恥ずかしながら、これまで私も”死”を他人事のように感じていた時期がありました。

 

しかし、数年前ですが、自分の子供と一緒に、病院で体にチューブが繋がれている祖父母をお見舞いに行ってから数か月後、病院で亡くなった時に思いました。

 

次は自分の子供が私になり、私が祖父のようになるんだなと。

 

最近私の父母も体を患っており、あともう数年ぐらいなのかな、と勝手に思ったりもします。

 

これといった趣味を持たない父親は自営業であったので、仕事を辞めてからは、自宅で朝から晩までずっとテレビを見ているだけです。

 

そういう父親を見ていると、父親は自分のこれまでの人生に納得しているのだろうか。

 

また、最期亡くなる寸前に、「人生いろいろあったけれど、いい人生だったな」と思って命を終えることができるのだろうか。

 

そんなことを考えている時に、ふと、はたして自分はどうなのかということが脳裏をよぎります。

 

そもそも、自分は何をするために、ここにいるのか。

 

こんなことを自分に問い掛ける様になりました。

 

その答えは、誰も教えてくれません。

 

自分の存在意義は、自分で見つけるしかないのです。

 

 

田坂さんは、死生観を持つと、次の3つの効果があると言います。

 

1.時間の密度が濃くなる

  

2.逆境に強くなる

 

3.使命感がつく

 

そうか、こうした効果があるから、死生観がリーダーに求められるのか、と腑に落ちました。

 

この3て目の「使命感」という文字は、命を使うと書きます。

 

「あなたはどんなことに命を使う覚悟があるのか。」

 

田坂さんの講演は、そんな熱い問い掛けを私にしているように思えてならなかったのです。