私が、気に入っているまたは興味がある特集が組まれていた時にだけ、録画して視聴するテレビ東京のカンブリア宮殿という番組があります。
つい最近、安くて自由な旅をお手伝いする日本版モーテルを運営されている旅籠屋(はたごや)の社長甲斐真さんが出演される放送回を視聴した時の話です。
数年前、岐阜県で行われる長良川花火大会を家族で見に行くことになり、会場から一番近い旅籠屋に予約していたのですが、花火が終了してから、まさかここまで酷い渋滞に巻き込まれることになるとは想像できず、結局23:00のチェックインに間に合わなくなり、キャンセルする事態になった苦い経験のあるところなんです(笑)
カンブリア宮殿という番組は基本的に、スタジオ収録にゲストの経営者を呼んで、村上龍さんと小池栄子さんが、ゲストに質問して、その人となりを見せるトーク部分と、取材班が現地で仕事風景などの録画部分を織り交ぜながら展開するという構成です。
そのトーク部分で、私が強く惹かれた甲斐真さんの言葉がありましたので、それをご紹介させていただきます。
アメリカでシンプルで自由な旅を支援するモーテルというホテルに強く共感され、これを日本で提供したいと一念発起。
他社に先駆けて1995年に栃木県日光に1号店をオープンされました。
そのアメリカで実際にモーテルに宿泊をした時に、大きなカルチャーショックを受けたといいます。
余りにもほったらかされるので、最初は違和感、不安感のようなものを覚えたと。
しかしながら、数日経った時、甲斐さんが感じられた言葉がとても印象的だったのです。
このモーテルが、我々に「どうやって人生を生きていくかは、あなたの問題である。」という突き放された問い掛けをしているように感じたというのです。
更に、「そこで、どう楽しむか、どう生きていくかは、それぞれの問題で、好きにしろ」と言われているように感じたとも。
甲斐さんは、昔からどこの学校に行けとか、こういう会社に行けとか言われることが嫌であったと。
また、この方式の宿泊施設が全国にできたなら、借り物ではない自立した旅ができると思ったと言います。
「借り物ではない自立した旅」
私はこの言葉に心を動かされました。
甲斐さんは42歳で起業をされたということです。
私の勝手な想像ですが、かなり早い段階から甲斐さんには「借り物でない自立した人生」を送りたいということが潜在意識の中に潜んでいたのではないでしょうか。
そういう意識を持ち続けていたからこそ、旅行をしていた時に、モーテルが琴線に触れ、それが起業に繋がった。
これは甲斐さんの自己概念(ありたい自分)を表していると思うのです。
「借り物でない自立した人生」を目指すから「借り物でない自立した旅」にたどり着く。
それは、世間の常識という枠にはめられることを拒否する勇気。
他社に依存せず、自分の足で立つという、責任を引き受ける勇気。
そういう勇気が、モーテル=ラブホテルと捉えてしまう役所の偏見にも、立ち向かわせる原動力になったのでしょう。
「旅籠屋を目的で宿泊する人はいませんよ。」
「周辺の観光地や飲食店を楽しむために、旅籠屋に立ち寄るだけ。」
「だから、旅籠屋があって困る人はいないんです」
と、持論を展開されていました。
私は、甲斐さんのたくさんの言葉から、カッコいい男の生き様のようなものを感じ取れたのです。