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第13号 1日24時間から考える残業適正時間とは

 

会社勤めの方は、時間外労働について、どのくらいの知識をお持ちでしょうか?

 

労働時間について、法的にどういった制限があるのか、ご存知でしょうか?

 

日本には労働基準法という労働に関する法律があり、原則すべての労働者に適用されるものです。

 

実は、労働基準法第32条に、使用者は労働者に1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはならないと、規定されています。

 

 

でも実際、皆さんほとんどそれを超えて残業することってありますよね。

 

それができるのは、労働基準法第36条に「36協定届」を所轄の労働基準監督署に届け出ることによって、可能になっているんです。

 

これまで、36協定届を労働基準監督署に届け出たことのある方は、そのあたりのことはご存じかもしれませんね。

 

 

先般、国会で成立した「働き方改革関連法案」の中で、「時間外労働の上限規制の導入」により、一部の職種を除いて、時間外の上限は1か月45時間、1年間では360時間となりました。

 

しかし、1か月の時間外労働の上限の数値に算出根拠があることを、知っておられる方は少ないのではないか、私はそのように思っています。

 

 

この1か月45時間というのは、どこから出てきた数字でしょうか。

 

ついこの間、仕事の関係で、労働基準監督署の監督官と36協定などに関してお話しする機会があり、その時にマメ知識として、なぜ45時間と規定されているのか、教えていただいたのです。

 

それは、簡単に言えば、仕事をする1日の24時間から一般的に生きていくために必要な時間を差し引いて、余った数字から算出しているというものなんです。

 

つまり、1日の労働時間の上限・・・8時間

 

労働時の休憩時間・・・1時間

 

睡眠時間・・・7時間

 

生活時間(通勤移動、食事、風呂)・・・5時間

 

趣味・娯楽時間・・・1時間

 

上記合計が22時間

 

残り2時間

 

これで1日では、2時間余ることになるので、この2時間なら残業になっても、ならなくてもいい時間ですよねという考え方。

 

日本では、週休2日の会社が多いことから、1か月は22日の平均所定労働日数になるため、

 

2時間 ✖ 22日 = 44時間 ≒ 45時間

 

ということで、1か月の労働時間の上限は45時間になっているとのことです。

 

 

当然人によって、通勤に必要な時間、睡眠に必要な時間、それぞれ異なるでしょう。

 

監督官の話では、「この考え方は世間には、書面等でオープンにしていませんが、労働基準監督署の関係者では、一般的な共通認識事項であり、医学的見地からも妥当であるという見解です」と言われました。

 

皆さんは、仕事がある1日は、どのような過ごし方をされていますか。

 

また、この話を知って、どう思われましたか。

 

私は、この余り2時間がとても大切な時間ではないかと感じました。

 

これを残業に使うか、それとも自分の成長のための時間に使うか。

 

人間が集中できる時間は限りがあります。

 

実りある人生を送るのに、毎日この2時間を意識して、有効活用することが重要なことではないか、そのように感じました。

 

大切ななことは、これをトリビアのような豆知識的な事柄だと決めつけて、終わらせるのではなく、一定の根拠から導かれた一般的な時間を自身の生活に照らし合わせ、自分のライフスタイルを考え直す良いきっかけにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。