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第11号 「勉強になりました」と言われるより、「こんな勉強会あるけど、受講してみない?」のほうが何倍もうれしい

 

私は仕事の中で、月1回ですが、ビジネスリーダーのためのスキルや教養を題材にした勉強会の講師をしています。

 

もう少しで丸2年になるでしょうか、昨年から対象メンバーも変わり、受講者にとって、ためになる講義になるよう内容や見せ方について、試行錯誤しながら続けています。

 

人には、それぞれ固有の価値観、自分らしさを持ち合わせています。

 

それは、ここ数年で出来上がったわけではなく、これまでの人生の中で経験したこと、周囲の環境、人間関係などが影響し合いながら、今の自分を作り上げているわけです。

 

良いとか悪いとかいうことではなく、知らず知らずに、その人らしいモノの見方、考え方が作られるものなんだと思います。

 

ですから、この講義を受けてどう感じるかは、千差万別。

 

開始当初は、ほとんど、上司が受けなさいと言われたから、受講しているといったものでした。

 

中には、何で直接仕事に関係ないことを時間を割いてまで、やらないといけないのか、なぜ私が、というような顔をしている参加者もいたと記憶しています。

 

けれども、トータル10回目以上の講義を迎えた今、みんなの意識が随分変わったのではないかと、私は感じています。

 

・参加率がどんどん良くなっている。

 

・メンバーをがっちり固定していないので、興味を持った者が途中から自主的に参加してきている。

 

・受講感想文が前向きになってきている。

 

・講義中、自分なりの意見を言えるようになってきている。

 

本職の講師をされている方からすると、このような出来事はたいしたことではないと言われるかもしれません。

 

しかし、私はこうした変容を目の当りにして、自分のモチベーションが上がっているのがわかるのです。

 

だから、1度たりとていい加減な気持ちで勉強会をするわけにはいかない。

 

気付きのきっかけを与えたり、日常業務さらには日常生活の良い習慣化につながるような講義内容にできないか、普段の生活の中でも考えるようになるのです。

 

実は私の自己概念(自分らしい考え方、ありたい自分)の内、上位にあるのが、「周囲からの称賛」です。

 

「〇〇さん、今日の講義非常に良かった、ためになった、これからも、もっといろいろ教えてください。」

 

「今日の講義を聞いて、目が覚めました、明日から精一杯努力していこうと思います。」

 

こんなことを言われたら、正直うれしく思いますし、何より自分ももっと頑張らなくてはと思います。

 

ただ、こんなことを言われることは、ほぼありません。

 

でも、それよりもっとうれしいことがあることを最近気が付いたのです。

 

ひとつが、業務の都合でどうしても勉強会に参加できなくなった場合、勉強会の資料のコピーが欲しいと申し出をしてくることです。

 

参加できないけれども、研修資料はいただきたい、これは、今ほとんどの受講生が言います。

 

もうひとつは、受講生が、人事異動で来たばかりの社員に、この勉強会に参加してみてはどうかと自主的に声を掛けてくれることです。

 

誰かに言われることなく、自分の判断で、同志を増やそうとしてくれるのです。

 

「ためになったです」「勉強になりました」と直接言われるより、「こんな勉強会あるけど、受講してみない?」と自主的に周囲へ広めてくれたり、「今回参加はできませんが、資料だけはいただけませんか?」と前向きに取り組む姿勢を垣間見ることのできる、間接的なものほうが何倍もうれしいのです。

 

こうした受講生の取り組む姿勢や自発的な行動に心を打たれることが、私のやる気をさらに掻き立ててくれるのです。